トライアウト消滅で危惧されるクビ選手の「ホームレス化」…受験経験のある球界OBが語ったリアルな声

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「今年最後って聞いていたので、1回経験してみたいなと」

 こう言ったのは、かつて日本ハム巨人でプレーした陽岱鋼(37)。昨14日に行われた12球団合同トライアウトに緊急参戦し、肩と足をアピールした陽は今季、二軍の新規球団である新潟のオイシックスに所属。NPB復帰を目指しているという。

 陽が言及したように、トライアウトは今季限りで消滅する可能性がある。参加者は昨年より10人少ない45名。阪神からの参加者はゼロで、うち32人が投手。野手が少ないため、スタッフが守備に就いた。

 近年の参加者は投手ばかりだ。シート打撃で投手は3人の打者との対戦するが、野手が少ないため、1人の野手が5回、6回…と、多くの打席に立つのが恒例となっている。

 このトライアウトを巡っては今年8月、NPBと選手会の事務折衝で来以降の運用について話し合いが行われ、選手関係委員会の委員長を務める広島・鈴木球団本部長が「昔のようにトライアウトの一打とか一球で(獲得を)決めることは、もうない」と、今季限りでの廃止を提案。存続を希望する選手会の森事務局長は、「球団側からはトライアウトを見て取ることはないので、選手会(主催)でやってもいいんじゃないかという話もあった」と、事実上の廃止になる公算が高まっている。

 かつては、中日落合博満監督が「トライアウトは宝の山」と話すなど、貴重な補強の場となっていた。この日は、ZOZOマリンでの開催とあって、ロッテの吉井監督がトライアウトを視察したが、近年は形骸化の一途を辿っているのが実情だ。

 2020年には、引退から10年以上が経過した新庄剛志(現日本ハム監督)が参加するなどイベント化しており、新天地が決まる選手はごく一握り。今年参加しなかった元阪神の加治屋蓮はすでに、楽天が調査していると報じられるなど、引きがある選手はトライアウトの参加、不参加に関わらず、移籍先が決まっていることが多い。

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