《王貞治の巻》打撃投手がイップスになりそうなほどの重圧を放ったケージ裏からの鋭い眼光
その打撃投手から「田尻さんはよく普通に投げられますね」と言われたので、僕はこう答えました。
「バカタレ、俺はおまえよりドキドキや。王監督の現役時代を知っとるけん。868本塁打もテレビで見てる世代やから、ドキドキもええとこやぞ」
そんな王さんですが、普段は紳士そのもの。実は、僕の嫁の父が王さんの大ファン。嫁もバレンタインデーの日には、王さんにチョコレートやハンカチなどを贈っていました。
するとある日、家に帰ったら留守番電話に録音が入っている。
「王ですが、〇〇さん、チョコレートありがとう」
僕とは球場で毎日会うので、その時に「奥さんに伝えておいて」と言えば済むところを、そうではなくきちんと自分の口から感謝を述べる。本当に律義な方です。ちなみに嫁は留守録に大興奮して、「これキープ!」とテープを外して保存しています(笑)。
これをもって本連載は最終回となります。9月から3カ月、お付き合いいただき、ありがとうございました。またどこかでホークスファンの皆さまにお会いできる日を楽しみにしています。 (おわり)