「プロ野球 名人たちの証言」二宮清純著

公開日: 更新日:

長嶋茂雄を見てください。『どうやって打つんですか?』『どうやって守るんですか?』と聞いても、明確な答えは返ってきませんよ。なぜなら現役時代、彼は無意識でプレーしていたから」

 本書の第Ⅴ章、<達人たちの視点>に登場する広岡達郎の言葉だ。現役時代にミスタープロ野球と三遊間を組み、巨人の黄金時代を彩った名遊撃手。指導者としても卓越した手腕を発揮した広岡の言葉はこう続く。

「そして、これが本物のスーパースターなんですよ。無意識でプレーできなければ一流とは言い難い。そこまで持ってくるのが指導者の仕事なんです。大脳で判断している間は、プロ野球選手は一流になれんです」

 スポーツジャーナリストの第一人者、二宮清純が13人の「名人」の口から引き出した秘話、逸話はそのままプロ野球の歴史と言っていい。

 広岡達朗が長嶋茂雄を語り、王貞治が川上哲治を語る。プロ野球が誕生80周年の記念イヤーを迎えた今年、本書を片手に「超一流だけが知りえる世界」に浸りたい。

(講談社 850円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ダウンタウン浜田雅功の休養でよぎる2023年の「意識障害」報道…「前日のことを全く記憶していない」

  2. 2

    フジテレビ30代アナ永島優美、椿原慶子が辞めて佐々木恭子、西山喜久恵50代アナが居座る深刻

  3. 3

    蒔田彩珠は“この役なら変われる”と奮起して「富永蒼」役をゲット

  4. 4

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  5. 5

    コシノジュンコそっくり? NHK朝ドラ「カーネーション」で演じた川崎亜沙美は岸和田で母に

  1. 6

    40歳目前の綾瀬はるかは"長い春"か…冠番組に映画主演と「決断できない」ジェシーとの関係

  2. 7

    岡田准一が真田広之をライバル視…Netflix超大作時代劇「イクサガミ」での“無茶ぶり”には困惑の声も

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    浜田雅功の休養で暗雲漂う…大阪・関西万博とダウンタウン活動再開の行方

  5. 10

    精神科医・和田秀樹氏が語る「老害」を乗り越える方法