第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞した藤崎翔氏に聞く
「ミステリーにしてはヒントが足りないという声もありました。ヒントを入れるのが怖いんです、バレそうで(笑い)。今後の課題ではありますね。ミステリーファンはもちろん、普段本を読まない人にも読んでほしいので、面白くてどこか切ない人間ドラマを描いていきたいと思っているんです」
芸人、介護ヘルパー、数々の職業経験も作品に生かされ、登場人物の血肉となっているようだ。作家になった今でも午前中はアルバイトを続ける。
「賞金400万円も実はまだいただいてないので、生活は何も変わっていません。今日もバイトして、マクドナルドで原稿を書いてから来ました。次回作は、開いた1ページ目から『なんじゃこりゃ!?』と思うような、画期的な文体の作品になることだけは決定しています。面白くなるかどうかは未定ですが(笑い)」
▽ふじさき・しょう 1985年、茨城県出身。高校卒業後に上京し、「セーフティ番頭」というコンビ名で6年間お笑い芸人として活動。14年、本作で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビュー。現在は芸人をやめ、家賃4万5000円のアパートに住み、アルバイトをしながら執筆を続けている。