「農的な生活がおもしろい」牧野篤氏
市場経済をうまく利用しながらも地域、環境、人間関係など金銭では買えないものを大切にする。そんな生活に賛同する若者が各地から集まり、ついに豊田市では行政が住宅支援をするまでになった。
「若者が言う『楽しければいい』の本当の意味は、他人の役に立ち、持続することを指していたんです。彼らは身の丈に合った世界の中で周囲の人たちを確実に巻き込みながら、新しい生き方を提示し始めています。生き方はひとつではありません。今の暮らし方に戸惑っている人に、こうした生活もあることを知ってもらいたいですね」
(さくら舎 1400円)
▽1960年、愛知県生まれ。08年から東京大学大学院教育学研究科教授。専門の社会教育に加え、日本のまちづくりや過疎化問題にも取り組む。著書に「生きることとしての学び」「シニア世代の学びと社会」など。