【年末に読みたい珠玉の時代・歴史小説】「鬼はもとより」青山文平著

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 宝暦8(1758)年秋、浅草山川町の裏店で万年青を商う奥脇抄一郎に、旗本の深井藤兵衛を通じて、ある依頼が舞い込んでくる。抄一郎は、万年青稼業を隠れみのに、裏で諸藩の御用人らに藩札版行の指南役を務めていた。

 8年前、ある小藩の武家だった抄一郎は女遊びが災いして御馬廻りから藩札掛に回され、藩札頭の佐島から徹底的にその仕組みを仕込まれた。佐島亡き後、藩札頭に就いた抄一郎は、筆頭家老から命じられた藩札の10割の刷り増しを拒み、版木を持ち出し脱藩。数カ月後に、別の藩札を発行した藩は混乱に陥り、改易されてしまった。以来、国を大本から立て直す仕法を思案し続けてきた抄一郎に、その成果を試す絶好の機会が到来する。

 今年一番の収穫との呼び声も高い異色経済時代小説。

(徳間書店 1700円+税)

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