「鉄道黄金時代1970's」二村高史著
国鉄ばかりでなく、もちろん私鉄ローカル線も網羅。化学肥料メーカーが工場から製品を運ぶ目的で建設した、山陽本線土山駅と港を結ぶ別府鉄道土山線では、ノスタルジーあふれる古典車両を独占し、有名落語家によく似た車掌さんと至福の時間を過ごした。
さらに消えゆく都電をはじめ、高校の修学旅行の自由時間を利用して撮影した京都市電など、各地の路面電車、そして4回も撮影に行きながら列車には一回も乗らずに後悔しているという、営林署管轄の森林鉄道として国内最後だった木曽の「王滝森林鉄道」や、夕張の楓炭鉱で使われていたトロッコまで。
今はもう決して出合うことも、撮ることもできない日本の良き時代の鉄道風景がぎっしりと詰まり、見応え読み応え十分だ。
(日経BP社 1800円+税)