「神学の思考」佐藤優氏
日本では、キリスト教は禁欲で平和主義のように思われているが、「絶対平和主義の宗教と考えると間違いを起こす」と強調する。
「キリスト教は人間性悪説に立っており、性悪だから戦争も起きると考えます。しかし一方で、自分も性悪であるから、本当に悪いのは誰かの答えは“神のみぞ知る”であり、自分が正しいと思う道を行くしかない、と。戦争の応戦もその考えに起因しますし、聖書でも、キリストを捕まえようとした人に対して、弟子が武器を先制行使しています。欧米諸国は正当防衛と信じれば、武力行使に躊躇しないのは当然なんです」
性悪の発想は、物語の世界でも見られる。
「取りつかれた妖怪によって運不運が決まる『妖怪ウォッチ』の物語は、絶対にキリスト教圏からは出てこない(笑い)。だって自分が悪いかもという発想がないでしょ? ともあれ、世界の勝ち組クラブであるキリスト教の発想を知っておいて損はありません。自分の人生に複線として応用すれば、助けになりますよ」
対ロシア外交の最前線で「神学の思考」を武器にして活躍した著者が、キリスト教の内在論を徹底解説。