失明しながら世界的格闘家を倒した日本人

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 PRIDEやK-1全盛期以後の格闘技しか知らないファンにとっては、桜庭和志や吉田秀彦の目覚ましい活躍を思い出すことだろう。しかし、それ以前に失明しながらも世界的格闘家・ゴルドーを倒した中井のことも忘れてはならない。

 本書では、中井の北大柔道部時代の先輩である増田氏が後輩への愛情を込め、控えめに中井の偉業を追う。ゴルドーとの試合中、派手な動きがないことをやじる周囲の観客を増田氏と仲間が恫喝するシーンには中井への尊敬と、「本気な男を安易に批判するんじゃねぇ!」の念を感じることができる。

 本作にはバルセロナ五輪柔道71キロ級金メダリスト・古賀稔彦を8年がかりで倒した堀越英範のストーリーも収録。決して目立つわけではないが、愚直に努力をし続けた男たちが結果を出すさまに私は発奮させられた。★★★(選者・中川淳一郎)

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