【認知症】高齢化社会の宿命で認知症患者は増加するばかり。「治らない病気」認知症とどう向き合うか。
「在宅介護」結城康博著
在宅介護における認知症介護は家族の負担はもとより社会問題としても深刻化している。
たとえば徘徊(はいかい)。自宅近隣から離れ、電車などを利用して遠方に行ってしまうことがある。警察に保護されてもデータシステムには顔写真が掲載されないため、家族からの捜索願とリンクせず「行方不明」のまま亡くなるケースが後を絶たない。
また、認知症患者が徘徊し、列車にはねられて死亡した2007年の事件では、高齢の妻と別居している長男の2人に対して損害賠償命令が下され、介護を担っている多くの家族や現場では戸惑いと不安が広がっている。
地域による見守り態勢の可能性から在宅介護サービスの使い方まで、介護の現状を伝える。(岩波書店 820円+税)