「いつまでも若いと思うなよ」橋本治著
67歳の著者が、自らの老いの実感を明かしながら、「年寄り」をテーマにつづるエッセー。多くの年寄りにとって、自分の「老い」は他人事のようだと指摘。戦後、「若い方がいい」という単純な一方向の信仰から離れられなくなってしまったゆえに、自分はまだ年寄りじゃないと思いたがるのだろうと。老いが他人事なのは、老いというものがよく分からないからではないかと自分の老いを受け入れる難しさを説く。バブル崩壊寸前に貧乏になると分かっていながら抱えた莫大なローンに今も追われ、完治のあてがない何万人に1人という難病「顕微鏡的多発血管炎」も発病。その経緯も語りながら、老いを受け入れ、慣れるためのヒントを語る。(新潮社 740円+税)