「老父の誘拐」小川征也著
田園調布に暮らす75歳の元教師・雄作は、行きつけの喫茶店で知り合った平田に誘われ、彼が住む久里浜のリゾートマンションに遊びに行く。もてなしを受け、翌朝、目覚めた雄作は、平田から実は自分が誘拐されたことを伝えられる。
雄作の息子・一馬は、次期総理候補と目される政治家で、嫁は資産家だった。しかし、ただの手先で、雄作を連れ出し、面倒を見るよう指示されているだけの平田にも、犯人の要求は見当がつかないという。自分の身に何かあったら孫の森一が同じ目に遭うと脅された雄作は、平田の指示に従うことに。
誘拐事件を題材に雄作・一馬親子のそれぞれの人生と人間模様を描き出す長編エンターテインメント。
(作品社 1600円+税)