【生き物の世界特集】
「第三のチンパンジー」ジャレド・ダイアモンドレベッカ・ステフォフ編著 秋山勝訳
地球上の生き物の中でも、あらゆる場所で大繁殖を遂げた「人間」。コモンチンパンジーやボノボと約98.4%同じ遺伝子を持つ「人間」は、遺伝子的には「第三のチンパンジー」だといえる。しかし、言葉を使い、大地を耕し、都市を構築し、互いに助け合い殺し合い、環境から資源を略奪して他の種を絶滅させ、環境を破壊する「人間」とは、実際はどんな生き物なのか。たった1.6%の違いから他の動物と人間との大きな違いをなぜ生み出したのか。
著書「銃・病原菌・鉄」で一躍有名となった著者が、進化生物学、生物地理学、言語学、人類学などの知見をもとに、「人間」という不可解な生き物の正体と未来を考察。人間とは何者なのかという古くからある哲学的な問いかけと、現在人類が直面しているさまざまな問題を提示し、人間という種が今後何をすべきなのか、これから進むべき道について説いている。(草思社 1800円+税)