【生き物の世界特集】
「野生動物カメラマン」岩合光昭著
地球上のあらゆる場所で、生き生きとした野生動物の写真を撮り続けてきた著者が、野生動物への思いと撮影の舞台裏をつづった一冊。
サバンナの狩人のライオンや嫌われ者として見られがちなハイエナ、北極圏で遭遇した巨大なホッキョクグマ、ハワイの海で出あったザトウクジラの母子、中国の竹林の急斜面を移動しながら暮らすジャイアントパンダ、雪玉を転がして遊ぶニホンザルの子どもなど、自然の中で暮らす野生動物の営みの瞬間をとらえた写真も多数掲載されている。
彼らは縄張りに侵入してきた人間を観察しているため、そばにいても害のないものとして存在を許される状態になるまで待ち、彼らの気持ちになってシャッターを切るのだという。
著者の写真は、野生動物を同じ地球に生きる隣人として人間の側に引き寄せてくれる魅力に満ちている。(集英社1200円+税)