【ヒラリーと大統領選】ここにきて対抗馬サンダースに押され気味のヒラリー。一体、彼女に何があった?
「ヒラリー・クリントン運命の大統領」越智道雄著
ヒラリーは「好き」と「嫌い」がはっきり分かれるタイプ。ヒラリー論も、著者がヒラリーびいきか反ヒラリーかに分かれる。本書は明らかに前者。
英米文化論を得意とする著者によれば、ヒラリーは工場主の父に「息子」として鍛え抜かれた。小中学校時代は教師たちが彼女を奪い合うほど際立った存在で、名門の娘ばかりの有名女子大では、見劣りする育ちに内心悩みながらも、抜群の頭脳と強心臓で古いしきたりを打破。級友たちに「未来の女性大統領」を予感させたほどだという。
結婚はまさに野心家同士の運命の絆。「きみと恋に落ちるのはこわい。きみは大物だから何にでもなれる」と口にしたビルは、ヒラリーにとって女であるがゆえの壁を打ち破って上を目指すための「分身」だったのだ。ビルの女癖の悪さも著者は、ヒラリーが仕事魔の分だけ「性的に淡泊」で、「ビルはセックスメートを他に求めざるを得なかった」とあっさり片付ける。
「ビルって大した男よね。この私に求婚したのよ」と言ってのけたヒラリー。その自信こそが、ここにきて彼女に突き付けられた世間の反発のもとかもしれない。(朝日新聞出版 780円+税)