読んでおいしい最新グルメ文庫はこれだ!
「京なさけ 小料理のどか屋人情帖19」 倉阪鬼一郎著
元武士の時吉は、わけあって料理人として生まれ変わり、今は神田横山町の旅籠付き小料理のどか屋を切り盛りしている。ある夜、料理の師匠・長吉が若い男を連れて店を訪ねてきた。京造と名乗るその青年は、長吉がかつて世話になった京の名店・宮戸屋の跡取り息子だという。
江戸の料理を学びに来た京造には、もう一つ目的があった。先代亡き後、見栄えだけの料理と格式を鼻にかけた接客で客足が遠のいている店の行く末を心配した京造は、一緒に京に行き、母親の女将と板長に意見して欲しいと時吉に頭を下げる。
タコのやわらか煮、イカの黄金扇、サンマの菊花巻きなど、次々と登場するおいしそうな料理を小道具に描く人気人情時代小説シリーズ最新刊。(二見書房 648円+税)