「女系の総督」藤田宜永著
森川の家は代々、女系家族で、子どもは3人とも娘。同居する三女夫婦の子どもも女だった。
16年前に妻を亡くした森川の家には、三女一家の他に認知症の症状が表れ始めた母とアナウンサーの次女、そして大学生の姪が同居。婿養子だった亡き父は家業の材木商をたたみ、店をマンションに建て替えた。おかげで森川は、自分の選んだ道を進み、出版社で役員を務めている。競艇選手の長女は、森川を毛嫌いして家に寄り付かない。ある日、ホテルでのパーティーに参加した森川は、エレベーターから男と降りてきた姉の昌子を見かける。2人の関係が気になる森川だが、男勝りの姉に何も問いただせない。
周囲の女性たちに振り回される森川の新しい恋を描く長編家族小説。(講談社 980円+税)