世界を吹き荒れる大衆扇動の嵐 「ポピュリズム」とは何か
「ポピュリズム」薬師院仁志著
関西在住の社会学者である著者は5年前、橋下徹大阪市長(当時)とテレビ出演し、論争したあげく橋下支持者から猛烈なバッシングを受けた過去を持つ。
本書では米国のトランプ、日本の橋下、仏のルペンら代表的なポピュリストを例に、彼らの思想や政治的ふるまいを具体的に論じる。
特に終わりのほぼ3分の1を費やした仏ルペン父娘2代にわたる国民戦線の分析は読み応えがある。毒々しい差別的言辞で少数派にとどまった父と、「見かけだけはきれいなFN(国民戦線)」の演出に腐心する娘。みえすいた手口だが、過去を知らない若い世代がころりと帰依してしまうあたりも日本に一脈通じるようだ。(新潮社 780円+税)