「なぜ微熱は体にいいのか」鄭忠和著
寒けがして熱を測ってみると、37.2度の微熱。こんなとき、慌てて解熱剤を服用するのは大間違いだと本書。炎症等の原因物質が体内に取り込まれると、「熱を出して病原菌をやっつけよう」という指令が脳の視床下部から出される。その結果、寒けや関節痛などの不快な症状が表れるわけで、37~38度の微熱の段階で解熱剤を飲むことは、むしろ病原菌を応援しているようなものなのだ。
発熱とは、免疫力を活性化させる優れた生理的反応であり、体温が42.5度以上になればがん細胞ですら死んでいく。熱刺激によって体内で作られるヒートショックタンパク(HSP)という物質が、変性した細胞の分解や修復を行うためだ。HSPは、気持ちいいと感じる程度に体を温めるだけでも作られる。体を温めて体温を高めに保つことは、病気の回復や予防に大いに役立つわけだ。
ところが、現代人は低体温化しているといわれ、平熱が35度台という人も少なくない。体を冷やす原因のひとつには、ストレスが挙げられる。慢性的なストレス状態が続くと、アドレナリンの分泌が高まり、血管が収縮して体温も低下する。また、食べ過ぎも要注意だ。常に胃腸に食べ物があると、血液は消化のために消化管に貯留し、筋肉への供給が不足して体を冷やす。肥満は生活習慣病のリスクを高めるといわれるが、免疫力も低下させるのだ。
本書では“健康的な微熱”を生み出す入浴法や食事法も伝授。高めの体温で病気に打ち勝とう。
(講談社 1000円+税)