「なぜ微熱は体にいいのか」鄭忠和著

公開日: 更新日:

 寒けがして熱を測ってみると、37.2度の微熱。こんなとき、慌てて解熱剤を服用するのは大間違いだと本書。炎症等の原因物質が体内に取り込まれると、「熱を出して病原菌をやっつけよう」という指令が脳の視床下部から出される。その結果、寒けや関節痛などの不快な症状が表れるわけで、37~38度の微熱の段階で解熱剤を飲むことは、むしろ病原菌を応援しているようなものなのだ。

 発熱とは、免疫力を活性化させる優れた生理的反応であり、体温が42.5度以上になればがん細胞ですら死んでいく。熱刺激によって体内で作られるヒートショックタンパク(HSP)という物質が、変性した細胞の分解や修復を行うためだ。HSPは、気持ちいいと感じる程度に体を温めるだけでも作られる。体を温めて体温を高めに保つことは、病気の回復や予防に大いに役立つわけだ。

 ところが、現代人は低体温化しているといわれ、平熱が35度台という人も少なくない。体を冷やす原因のひとつには、ストレスが挙げられる。慢性的なストレス状態が続くと、アドレナリンの分泌が高まり、血管が収縮して体温も低下する。また、食べ過ぎも要注意だ。常に胃腸に食べ物があると、血液は消化のために消化管に貯留し、筋肉への供給が不足して体を冷やす。肥満は生活習慣病のリスクを高めるといわれるが、免疫力も低下させるのだ。

 本書では“健康的な微熱”を生み出す入浴法や食事法も伝授。高めの体温で病気に打ち勝とう。

(講談社 1000円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出