「生きのびるマンション」山岡淳一郎著
日本では今、多くの分譲マンションが「建物の老朽化」と「住民の高齢化」という「二つの老い」に直面している。一方でマンションは「私」の自由と、「共同体」の役務を少し重ね合わせれば「楽園」に変わる潜在力を秘めていると著者は言う。
本書は、マンションを取り巻く現実と、「楽園」に転じた例などを紹介しながら、「二つの老い」を克服するためにどうすればよいかを提言する住まいのテキスト。
認知症の居住者への対応、持ち主が判明しない空室の相続住居の処分など管理組合が直面しているさまざまな問題を取り上げ、スラム化と楽園化の分岐点を考える。他にも修繕積立金を狙い管理組合を欺く業界内の「談合・リベート」の実態や、タワーマンションを巡る不都合な真実など。マンション居住者必読の書。
(岩波書店 780円+税)