「すべての不調は自分で治せる」藤川徳美著
白米に味噌汁、焼き魚に切り干し大根の小鉢に生野菜サラダ。こんなメニューだったら「今日の食事はヘルシーで最高のバランスだ」と思うだろう。しかし、栄養療法で実績を上げている精神科医の著者は、質的栄養失調に陥ると警告する。これは「糖質過多+タンパク質不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」を指し、あらゆる慢性疾患の原因にもなる。人間の体の構造を考えれば、いわゆるバランスの良さそうな食事では栄養失調に陥るため、“和食はヘルシー”“野菜は健康食”というイメージも今すぐ捨てるべきだという。
本書では、まずはタンパク質を十分量摂取する必要性を解説している。私たちの体はDNAにより制御され、そこには生命を維持するための設計図、すなわちタンパク質のつくり方が記されている。合成されたタンパク質は細胞内でその働きを終えると速やかに分解され、再び必要なタンパク質を合成する。この働きが滞ると代謝障害が起こり、慢性疾患のリスクを高める。逆に、食事からタンパク質を供給してやれば代謝が促進され、疾患の改善にもつながる。とはいえ、摂取したタンパク質は数時間で使われてしまうので、1日3回タンパク質を取る必要があるのだ。
健康維持・疾患予防のためには、最低でも1日に体重(キロ)×1グラムのタンパク質を摂取したい。本書ではその計算の仕方も紹介しており、体重65キロの男性なら卵3個+牛肉300グラムが最低ラインとなる。足りない分はプロテインで補うのもお勧めだ。
他にも、メガ(たくさんの)量のビタミン摂取と慢性疾患への効果なども解説。漠然と“バランスの良い食事”をしても健康にはつながりにくいと心得よう。
(方丈社 1300円+税)