「森沢カフェ」森沢明夫著
人気作家によるエッセー集。身の回りの、「お金でいえば『札束』じゃなく『小銭』みたいな」、小さな幸せについてつづる。
コーヒーの香りに誘われ入った喫茶店で、メニューを読むうち、心変わりして店のイチオシのオリジナルハーブティーのアイスを注文。しかし、ハーブティーはお世辞にもおいしいとは言えなかった。がっかりしたが、味はともかく色がきれいなことに気づき、カウンターの日だまりの中にグラスを置いてみた。するとそこに一輪のハイビスカスが咲いたように美しく輝いた。
他にもケチャップでイタリアンにもなる「卵かけご飯」のさまざまな食べ方や、山奥に暮らすおばあさんとその飼い犬との思い出などが、読者の心に小さな明かりをともしてくれる。
(潮出版社 780円+税)