「夜がどれほど暗くても」中山七里著
「週刊春潮」の副編集長、志賀倫成は、警視庁捜査1課の宮藤から息子、健輔が殺人を犯し、本人も自殺したと告げられた。健輔が慕っていた大学の講師、星野希久子をストーキングしたあげく、その夫とともに刺し殺したというのだ。
身元確認をし、呆然自失で警察を出た志賀と妻の鞠子を、報道陣が取り囲んだ。「普段報道している側として、今のお気持ちを」とマイクを向けられ、著名人のスキャンダルを記事にしていた自分が、今度はマスコミの攻撃を受ける側になったことを知った。タクシーに乗ろうとした志賀に、「逃げるんですか、志賀さん」「あなたはそれでもジャーナリストですか」という声が浴びせられる。
スキャンダルに追い詰められる男を描く。
(角川春樹事務所 1600円+税)