「結婚させる家」桂望実著
桐生恭子は40歳以上が対象の結婚情報サービス会社ブルーパールのカリスマ相談員だ。35歳で独身なのだが、オーナーの妻・浩子に、相談員が独身では説得力がないと言われたので、左手の薬指に安いリングをしている。太ったせいか指に食い込んで、今では抜こうとしても抜けない。
浩子に、恭子が担当したカップルは破局率が高いと言われ、新企画を提案する。親会社の青木不動産が扱った大邸宅・M屋敷で、交際中の会員に体験宿泊をさせようというのだ。会員の吉村梨佳は同宿者に妹一家と、交際中の細田泰彦一家を申請した。夕食のとき、泰彦が化石探しが趣味だと言うと、梨佳のめいが「学校の先生になろうとは思わなかったんですか?」と聞いた。その場の空気が変わった。
さまざまな問題を抱えた中高年の婚活物語。
(光文社 1600円+税)