「『さみしさ』の力」榎本博明著
青年期になると、自己の内面を見つめ、他の誰とも違う自分を意識する。親にも、自分の領域に立ち入られたくないという思いが強まり、これまで頼ったり甘えたりしてきた親にうっとうしさを感じるようになる。
そんなとき、ふとさびしさが込み上げてくる。青年期になると、このように、親から切り離された自分を意識して、自分の思うように生きたいと思いつつも、痛切なさみしさを噛みしめて生きるようになる。
一方で、相変わらず親に温かく包み込まれることに心地よさを感じ、自立への一歩を踏み出さずに、さみしさと無縁に生きる若者たちも増えている。そうした「さみしさ」の諸相について考えながら、さみしさを糧に自立するという心理的課題に取り組む方法をアドバイスする若者向け生き方指南書。
(筑摩書房 760円+税)