「“隠れ酸欠”から体を守る 横隔膜ほぐし」京谷達矢著
コロナ禍で、私たちは強いストレスにさらされ続けている。体の中では、自律神経のうちの交感神経が優位に働いて戦闘モードとなっており、心拍が速くなったり血圧が上昇しやすい状態だ。
さらに、交感神経が優位の状態では呼吸も速く、浅くなる。加えて今、私たちはマスクで常に鼻と口を覆われた状態だ。暑さだけではない息苦しさを感じている人も少なくないだろう。
実は近頃、全身が酸素不足状態に陥っている人が増えているという。突然息を止めたときとは異なり、ストレスや環境要因で起こる酸素不足は本人も気づかないまま、少しずつ進行する。生命維持のために欠かせない酸素が不足すると、内臓をはじめ、あらゆる組織や器官の機能も低下する。やがて、免疫細胞の働きも弱まって、感染症と闘う力まで衰えかねない。
しかし、このような“隠れ酸欠”は、簡単な方法で解消できる。肺の下にあり呼吸を助ける筋肉である横隔膜をほぐすことだ。横隔膜が軟らかくなることで、肺が膨らみやすくなり、空気を取り入れるのが容易になる。本書では、横隔膜をほぐすためのさまざまなエクササイズを紹介している。
やり方はいたって簡単で、例えば椅子に座り、肺の下の横隔膜に沿って手を添えたら、3秒で息を吸い込み、お腹を膨らませる。そのまま体を倒し10秒かけて口から息を吐きながらお腹をへこませるといった具合だ。この動きによって横隔膜が刺激され、柔軟性が高まるという。
横隔膜は、加齢に伴い硬くなるうえ、ストレスによっても柔軟性が低下するという。コロナ禍では、意識して横隔膜をほぐしてやらなければ、呼吸がどんどん浅くなるということだ。横隔膜ほぐしのエクササイズを毎日の習慣にしよう。
(青春出版社 1070円+税)