「大相撲と鉄道」木村銀治郎著
大相撲は年6回の本場所に加え、春夏秋冬4回の地方巡業があり、全国を回る。巡業のため日本相撲協会が利用する団体列車は「相撲列車」と呼ばれ、その手配をするのも「行司」の仕事だ。本書は、幕内格行司にして鉄道ファンでもある著者が、そんな大相撲と鉄道とのかかわりを紹介する業界エッセー。
親方衆や力士などを含む日本相撲協会全体の移動手段の勘案と手配を一手に担う行司は「輸送係」と呼ばれる。年3回の地方本場所における東京から名古屋・大阪・福岡往復を新幹線を利用して行う「大移動」、鉄道の他に貸し切りバスや船舶・航空機などを駆使する地方巡業など、それぞれの舞台裏を詳述。
人気力士の知られざるエピソードも満載で相撲ファン、鉄道ファン双方が満足する面白本。
(交通新聞社 990円)