「妻の罪状」新津きよみ著
自宅で介護していた義母のヨネと夫の牧男を殺害した春子は、国選弁護人の奥寺に心の内を明かす。
10年前、ヨネが脳梗塞で倒れ、春子はパートを辞めて姑の介護に専念。夫の妹や弟は介護を手伝うこともなく、春子への感謝の言葉もない。やがてヨネがレビー小体型認知症を発症し、定年退職した牧男も介護に加わる。しかし、牧男はボケたヨネの言葉に腹を立て手を上げてしまう。それ以来、また春子に介護を任せきり。
そんな中、転んで骨折した牧男まで寝たきりになってしまったという。裁判員裁判で春子に異例の判決が下った後、奥寺は、抱いたわずかな疑念を確かめるために春子の唯一の話し相手だったという女性に会いにいく。
相続や終活など、現代社会の問題を盛り込みながら描くミステリー集。
(実業之日本社 792円)