「ドキュメント がん治療選択」金田信一郎著
居酒屋で突然嘔吐(おうと)したことをきっかけに体の異変に気付いた著者は、近所のクリニックで食道がん疑いの診断を受け、東大病院を紹介された。
主治医となったのは、以前自身の母親が胃がんの手術を受けて治してもらった医師だったこともあり、当初は安心できると感じていた。
しかし次第に、実際の執刀医は誰になるのか、転移はあるのか、がんの影響が声帯にまで及ぶのかなどの疑問を解消することができないまま、どんどん治療が進められてしまうことに疑問を感じ始める。お任せで治療が進んでしまうことに抵抗を感じた著者は、ワンクール目の抗がん剤治療が終わったタイミングで、セカンドオピニオンを受けて転院する決意をしたのだが……。
長年ジャーナリストとして生きてきた著者が、がん患者になった立場から自身のがん治療選択のリアルを紹介したドキュメンタリー。後悔しない治療法にたどり着くために行った難しい決断や試行錯誤の過程が描かれている。巻末には、東大病院の病院長・瀬戸泰之氏と国立がん研究センター東病院の病院長・大津敦氏へのインタビューも収録されている。
(ダイヤモンド社 1650円)