「仮面」伊岡瞬著

公開日: 更新日:

 識字障害を持ちながらもアメリカ州知事選のブレーンになった経験を売りにして大ブレークした作家・三条公彦は、今やテレビ出演のオファーが絶えない人気タレント。三条の識字障害を補うための通訳兼秘書として雇われた菊井早紀は、三条と共にテレビに出演することになり、早紀を売り出そうともくろむディレクターから声をかけられるものの、テレビ業界の裏や三条の過去について疑問を感じ始めていた。

 そんな折、パン屋経営者の妻・宮崎璃名子の白骨死体が発見され、さらにその友人の主婦・新田文菜がある日こつぜんと消えてしまうという事件が起きる。文菜の失踪の捜査を担当する刑事の宮下真人巡査長と小野田静巡査部長は、文菜の実家に置いてあった私物の中に三条の著書3冊と、文菜がアメリカ留学中に撮った記念写真の中に璃名子が写っているのを見つけるのだが……。

代償」などの大ヒット作を持つ著者による最新作。テレビと出版というマスメディア業界を舞台に、さまざまな人が世間に見せている仮の顔の下に何があるのか、事件をきっかけにして見えてくる人間の真の姿を暴き出している。

(KADOKAWA 1750円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動