「みとりねこ」有川ひろ著

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 桜庭浩太(さくらばこうた)は、桜庭家の三男猫──と言われているが、浩太自身は自分が次男猫で浩美が三男坊だと思っている。

 20年も前の梅雨の日、まだ目もろくに開いていなかった浩太は雨に打たれていたところを、桜庭家のお父さんに助けられた。家には先住猫のダイアナと長男の昌浩がいて、その後、お母さんが赤ちゃんの浩美を抱いて帰ってきた。

 浩美はおくるみの中で手をバタバタするだけで、全然大きくならない。心配した浩太は浩美に毎日添い寝をし、よたよた歩きや食事にも付き添い見守った。

 やがて浩美はお父さんの背を追い抜き、大学生になったが、浩太にとって浩美は「弟」であることに変わりはない。そして「弟」の気持ちに応えて頑張って21歳になった。猫又になるまであと少しだ──。

 数々のメディアで話題となった小説「旅猫リポート」の外伝2編や書き下ろし「粉飾決算」を含む7編7匹の物語。ファンにはお馴染み「旅猫リポート」のハチやナナ、アンマーのおばあさん猫など、人と猫との出会いと別れの物語に感涙必至だ。

(講談社 1705円)

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