「見捨てられた者たち」マッシミリアーノ・ヴィルジーリオ著 清水由貴子訳
1984年、マルチェッロが6歳のときに、銀行員の父が本店勤務となり故郷のナポリに戻ってきた。引っ越し当日から、上階に住む2歳年上のレオはマルチェッロにとって気になる存在だった。
しかし、父親からレオと関わることを厳しく禁じられる。レオの父親は、カモッラ(ナポリを拠点にする犯罪組織)の一員で、母親エステルはアメリカ生まれだった。
数カ月後、レオの父親が刑務所に入れられ、レオとマルチェッロの関係に変化が訪れる。エステルが教会で行う慈善事業を手伝うようになってマルチェッロの母親は、2人が付き合うのを黙認したからだ。やがて2人は知り合いのタイヤ屋に頼まれ、近所の車をパンクさせて小遣い稼ぎをするようになる。
出自が異なる2人の30年に及ぶ友情と、それぞれの家族の物語。
(早川書房 1496円)