「本当は怖い 京ことば」大淵幸治著
著者は祇園祭の宵山で知り合いの京都ジンに出会った。彼は祭りの鉾(ほこ)や山の写真を撮るのが仕事だ。祭りのときに行われる町内の仕事については知らなかったので聞いてみると「わたしはてったわして(手伝わせて)もろてるだけで、詳しいことは知りまへんにゃ」と答える。それは、忙しいときにしょうもないことを聞いてくれるな、ということなのだ。使い走りでただ働かされているだけ、という自己卑下的なニュアンスに聞こえるがそうではない。栄誉ある町内行事の式次第は、一介の友人風情に伝授するものではないのだ。京都ジンの「長生きしはるわ」も「バカは死ななきゃ治らない」の意。
はんなりした京ことばの真意を紹介する。
(リベラル社 1430円)