「65歳からデイサービス従業員はじめました」夏樹久視著
推理作家として活躍していた著者は、母親が認知症になったのを機に介護ヘルパー2級の資格を取得。デイサービス施設に非正規で運転手兼ヘルパーの職を得て意気揚々と働き出した。
ところが、生まれて初めてのトイレ介助で粘土質のアレをトイレットペーパーを挟んで掴むはめに。また迎えに行ったおじいちゃんには突如失禁され、女性の利用者に社交辞令を言えば、なぜか「暴行」の容疑者扱いされるなど、“まさか”の連続だ。同僚たちの“無常識”ぶり、四角い窓を丸く拭いて平然とする姿にもあぜんとする。
そんな中でも「あなたに会えてよかった」と言ってくれた78歳の女性利用者、高校生ボランティアとの出会いなど喜びもあった。
作家の目を通して語られる、悲喜こもごもの介護現場ドキュメント。介護される人の姿からさまざまな「老い」が見えてくる。
(リベラル社 1540円)