「俺たちは神じゃない」中山祐次郎著
都内の総合病院で働く外科医の剣崎は、大腸がん手術をはじめ、手技の高さには定評がある。その剣崎が最も信頼を置いているのが同僚の松島だ。さまざまな病院で修羅場を体験してきた松島の適応力は剣崎にはないものだ。
ある日、外来診療を終えた剣崎は手術室から緊急呼び出しされる。泌尿器科の稲田が手術中の患者の出血が止まらないという。駆け付けた剣崎は、患者の体に両腕を入れ、骨盤の奥にある2カ所の出血点を手探りで見つけ出し押さえる。しかしこれでは、止血のため血管を縫うことができない。稲田は頼りにならず、このままでは患者の命も危ない。そのとき、松島が手術室に入ってきた。
現役外科医が総合病院の日常をリアルに描くエンターテインメント。
(新潮社 737円)