「きれいに逝かせてください 」原啓之、新城拓也、田口ランディ著

公開日: 更新日:

 身近な人が死を迎えるとき、どのように看取ることができるのか。そして、自分自身が逝く時はどのように逝きたいか──。

 本書は、終末医療の在り方を模索する医師・新城拓也氏と家族を看取った経験を持つ作家・田口ランディ氏と、スピリチュアリストの江原啓之氏が、看取ること、看取られることについて語り合った鼎談集だ。

 たとえば新城氏は緩和ケアに携わるなかで、患者さんに穏やかな死を迎えてほしいと願い試行錯誤した経験を、田口氏は介護から看取りまでの期間が子どもの進学の心配と重なった上にお金の心配をした50代のきつかった経験を披露している。また江原氏は、看取る側が臨終に間に合わなかったと悔いたり、私が看取らなければと悲劇のヒロインになって背負いこんだりするのではなく、あくまで逝く人を主人公にした看取りこそ後悔がないのではないかと自身の見解を述べている。

 納得のいく看取りの瞬間を迎えるために、医療が、家族が、そして看取られる側の本人がどんな心構えをしておけばいいのか、誰もが決して避けることのできない死との向き合い方について考えさせられる。

(ホーム社 1540円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…