「きれいに逝かせてください 」原啓之、新城拓也、田口ランディ著

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 身近な人が死を迎えるとき、どのように看取ることができるのか。そして、自分自身が逝く時はどのように逝きたいか──。

 本書は、終末医療の在り方を模索する医師・新城拓也氏と家族を看取った経験を持つ作家・田口ランディ氏と、スピリチュアリストの江原啓之氏が、看取ること、看取られることについて語り合った鼎談集だ。

 たとえば新城氏は緩和ケアに携わるなかで、患者さんに穏やかな死を迎えてほしいと願い試行錯誤した経験を、田口氏は介護から看取りまでの期間が子どもの進学の心配と重なった上にお金の心配をした50代のきつかった経験を披露している。また江原氏は、看取る側が臨終に間に合わなかったと悔いたり、私が看取らなければと悲劇のヒロインになって背負いこんだりするのではなく、あくまで逝く人を主人公にした看取りこそ後悔がないのではないかと自身の見解を述べている。

 納得のいく看取りの瞬間を迎えるために、医療が、家族が、そして看取られる側の本人がどんな心構えをしておけばいいのか、誰もが決して避けることのできない死との向き合い方について考えさせられる。

(ホーム社 1540円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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