「武蔵 残日の剣」稲葉稔著
1638年、中津藩小笠原勢の軍監として島原を攻めた宮本武蔵は、右足に打撲傷を負った。老いを実感した武蔵は、熊本藩主、細川忠利に招請されて、熊本藩の剣の指南役となる。
細川ガラシャを祭る立田山の泰勝院の大淵(だいえん)和尚に、武士としてめざす境地を問われた武蔵は、これまでの人生で会得したものを書き記そうと決意し、金峰山の霊巖洞にこもって「五輪書」の執筆を始める。
だが、肥後で新陰流を指南していた柳生十兵衛にねたまれ、彼の放った刺客に狙われることに。
島原で死を恐れることなく受け入れたキリシタンの人びとを思い起こし、剣士として「無」の境地を目指した武蔵の人生に迫る。
(KADOKAWA 2200円)