「君は放課後インソムニア」オジロマコト著
来年、アニメと実写映画の公開が決まっている人気コミックの主人公の高校生2人も不眠症。
石川県の九曜高校に通う1年生の中見は、毎夜眠れない日々が続いていた。代わりに昼間は死ぬほど眠くて頭が痛く、イライラしてばかり。その苦しみは誰にも打ち明けられず、唯一、友人の受川だけが知っている。
文化祭の準備中、中見は普段は施錠されている天文部の部室が開いていることに気づく。天文部は、女子部員の自殺を機に不可解な部員の死が続き、何年も前に廃部になったらしい。不吉な噂におじけづき、部室には誰も近づかない。恐る恐る入ると、妙に落ち着き、人目を忍んで眠るのにはちょうどよさそうだ。
ここを自分の場所にしようと決めた中見が、置いてあった段ボールをのぞくと女生徒が横たわっていた。同級生の曲だった。実は曲も不眠症でここを休息の場所にしているらしい。あの不吉な噂を流したのも曲だった。
曲の提案で部室をシェアすることにした2人は、クラスでは他人を装い、放課後に部室で安らぎの時間を過ごしていたが……。
(小学館 715円)