「ばくうどの悪夢」澤村伊智著
東京から父の故郷である兵庫県に引っ越してきた中学1年の「僕」は、悪夢に悩まされていた。夜道で人ではない何かに襲われて、腹に焼け付くような痛みを感じた。
目覚めてから、両親と居酒屋に行った。父の同級生の集まりだったが、そのひとりである樋口光太郎は、先月、妻を亡くしていた。産科の病棟に押し入った男に、妊娠中の妻と胎児を殺されたのだ。居酒屋の駐車場の奥にある「ばくうどさん」を祭った祠に会釈して帰ろうとしたら、光太郎の娘の由愛(ゆあ)に声をかけられた。由愛も悪夢を見て腹に痛みを感じるという。
翌日、授業中に気分が悪くなった同級生の彬良を保健室に連れていった。脈をみようと手首をつかむと、にちゃりとした感触があり、彬良の手首の皮膚が剥がれた。
比嘉姉妹シリーズの最新作。
(KADOKAWA 2035円)