「サイレント 黙認」神津凛子著
矢羽田勝人はコーヒーショップで働いている砥石華とすれ違ったとき、甘い匂いが漂ったのに気づく。勝人が店に財布を置き忘れたとき、華が追いかけてきて渡してくれた。その礼を口実にレストランに誘ってから、2人は付き合うようになる。
2人で善光寺の戒壇巡りをしたとき、暗闇の中で勝人は華の手を握ったつもりだったが、それはもっと小さな白い手だった。おそろしくなって離すと、手はすうっと消えた。華とホラー映画を見に行ったとき、最前列の席に異常に白い顔をした子どもがいるのに気づいた。その子はシートに手をかけて、勝人を凝視していた。
他の人には見えない子どもの幻影に脅かされる男を描くサイコホラー。
(講談社 1760円)