「死ねない老人」杉浦敏之著
人生100年時代といわれるが、長く高齢者医療に携わってきた著者によると、近年、「死にたい」と漏らす高齢者が目立ってきているという。経済的にも家族関係にも恵まれているのに、死にたいという思いに駆られる例が少なくないそうだ。
一方で、望む医療や最期のあり方を選べず、ただ医療技術で「本人の意思に反して生かされている」高齢者もかなりの数に上る。
会社員の子どもらと同居しているが、配偶者を亡くしたのを機に「早くお迎えが来てほしい」と訴える81歳の女性ら、これまでに出会った患者たちの心の内を紹介。
「生きていたくはないが、死ぬこともできない」高齢者や過剰な医療で「死ねない」高齢者を生み出す問題の背景に迫り、その解決策を提示するリポート。
(幻冬舎 990円)