「桜華」 武田賴政著
三浦半島にある防衛大学校に女子学生が初めて入学したのは1992年、防大が発足して40年目だった。
イージス艦の初めての女性艦長となった大谷三穂は、龍谷大2年生のとき、湾岸戦争で危機感をもち、女性に門戸を開いた防大を受験、「防大女子1期生」となった。
当時は女子学生が敬礼しても、男子の先輩は答礼もしなかったという。「母性保護」の観点から、女性隊員は戦闘部署には配置されなかった。三穂は海上自衛隊に配属されたが、女性は練習艦にしか乗れない。幹部中級課程で米海軍のイージス型ミサイル駆逐艦で実習航海をしたとき、艦長が自分と同年配の女性であることに気づいた。
「防大女子1期生」が見た自衛隊の深層を描くノンフィクション。
(文藝春秋 1980円)