「どんがら」清武英利著
「どんがら」清武英利著
トヨタ自動車の本社では、副社長の豊田章男の意向で「スポーツカー復活プロジェクト」が動き出していた。
代表取締役副社長の内山田竹志は、「多田っていう変な奴がいるだろう。あいつにやらせてみるか」と部下に指示した。
多田哲哉はかつて三菱ランサーで中部チャンピオンシリーズのラリーに出場、チャンピオンになった経験がある。ラリーに絡む部署への異動がかなわず、三菱自動車を退職。トヨタに入社して、ミニバン・ウィッシュのモデルチェンジに携わっていたが、理想と現実との乖離に苦しんでいた。
ある日、常務に呼ばれてこう言われた。
「明日からスポーツカーを作ってくれ」
自動車産業の中で夢を追い続ける男たちを描くノンフィクション。 (講談社 1980円)