「猫君」畠中恵著
「猫君」畠中恵著
茶虎で金目銀目の雄猫みかんは、髪結いのお香さんと吉原の長屋で暮らしてきた。間もなく20歳を迎えるみかんは、人間の言葉を話せるようになってきた。猫又になりかけているらしい。
病に倒れ、寿命を察したお香さんは、みかんに家を離れるようにと言う。妖(あやかし)の猫又は飼い主にたたると信じられ、人間には評判が悪く、お香さんは、自分の死後のみかんが心配なのだ。猫又になれば仲間とも会えるらしい。
数日後、朝起きるとお香さんが息絶えていた。嘆き、お香さんに話しかけているところを見つかったみかんは、近所の人に追われ、逃げ出す。あわや捕まる寸前、若い男に抱きあげられ懐に入れられる。
新米猫又のみかんが仲間とともに試練に立ち向かう時代ファンタジー。 (集英社 825円)