「やがて訪れる春のため」はらだみずき著
「やがて訪れる春のため」はらだみずき著
真芽は、カフェ開業の準備を進めていたが、仲間に裏切られ断念。会社も辞め、開業資金を取り崩し過ごしていたある日、骨折して入院した祖母・ハルの見舞いに行く。祖父はすでに亡くなり、ハルと会うのは3年ぶりだ。
ハルはしきりに丹精込めて育てている庭の植物のことを心配する。安請け合いした真芽は、ハルの家の様子を見に行くことに。ハルはなぜか家の中には入らないよう真芽に念を押す。ハルの家は、真芽にとっても小学6年まで過ごした懐かしい家だ。
しかし、訪ねてみると庭にかつての面影はなく荒れ放題だった。やがてハルが認知症を患っていることが判明。真芽はハルが戻ってくる日を願い、庭の手入れを始める。
長年のわだかまりを抱える家族の再生を庭の再生に重ねて描く長編小説。
(新潮社 737円)