「神よ憐れみたまえ」小池真理子著
「神よ憐れみたまえ」小池真理子著
1963年11月9日は、国鉄鶴見駅近くで電車の二重衝突事故と、福岡県の炭鉱で爆発事故があり、後に「魔の土曜日」と呼ばれることになる。同じ日、大田区・久が原に暮らす黒沢夫妻が惨殺される。
翌日、夫妻の遺体を見つけたのは家政婦のたづだった。
私立小学校に通う夫妻の一人娘の百々子は学校行事のため箱根に滞在中で難を逃れた。百々子の父は、有名製菓会社の創業者の息子で東京の支店長を務めていた。
6年間黒沢家に仕えていたたづには、理想的な一家に訪れた不幸がにわかには信じられない。小学6年の百々子は、父方の叔父夫妻や北海道の祖父母との同居を拒み、たづの家に世話になりながら、学校に通う。
突然の不幸に見舞われた才色兼備の少女・百々子の一生を描く大河小説。
(新潮社 1210円)