「ぼくは青くて透明で」窪美澄著
「ぼくは青くて透明で」窪美澄著
羽田海(かい)が6歳のとき、母は家を出、その後、再婚した父も出てゆき、海は継母の美佐子と2人で暮らしている。美佐子の仕事の都合で引っ越した町で2番目に頭のいい高校に転入したが、そこでは「空気みたいな羽田くん」だった。
クラス委員の長岡忍が校内を案内してくれたが、海は優等生の忍と自分の人生が交わることはないだろうと思った。海が初めて好きになったのは、中学の担任の小川先生だった。自分の「普通」は世の中の「普通」とは違うと思っていたのだ。クラス対抗の駅伝の練習のとき、海は転んでケガをした忍を慰めようと、頬にキスをする。
「普通」じゃない生活に悩みながら生きる高校生の物語。 (文藝春秋 1760円)