「大穴」団鬼六著
「大穴」団鬼六著
耕平は、東京・神楽坂の置屋で妾の子として生まれ育ち、父親の意向で大阪の大学に進学した。しかし、その父親が亡くなり仕送りが途絶えたためアルバイトで暮らしていたが、学費までは手が届かず中退を決断する。
そんな矢先、同じ大学に通う2学年上の恭太郎と知り合う。恭太郎は小豆相場で一獲千金を狙う学生相場師だった。耕平は、恭太郎に破格の給料で雇われることに。
1カ月後の台風の日、早朝に呼び出された耕平は恭太郎と北浜の仲買店に出陣。恭太郎は場の動きに逆らって、小豆50枚(1000俵)の売り注文を立てる。その様子を見ていた男が恭太郎に声をかけてきた。
SM官能小説の巨匠が若き日、昭和30年代初頭の大阪を舞台に学生相場師の活躍を描いた経済エンタメ小説の復刻。
(筑摩書房 990円)