「円也党、奔(はし)る」早見俊著
元亀3(1572)年7月、信長は浅井長政の小谷城攻略に頭を悩ませていた。前日には浅井に加勢するため越前から朝倉義景が来援し、小谷城近くの大嶽山に陣を構えていた。軍議で、明智光秀が没収した延暦寺の所領を手土産にして朝倉を撤兵させる策を提案。信長の許しを得た光秀は、変装して朝倉本陣に乗り込み、旧知の奉行衆・前波に接触する。
しかし、交渉は決裂、光秀は朝倉から打ち首を言い渡される。配下の遊行僧・円也に助けられた光秀は、朝倉の信頼を失っている前波を寝返らせることに。前波が寝返れば、朝倉の足元が危うくなると踏んだのだ。円也が率いる円也党の面々が前波の所領の村で調略にとりかかる。
智将・光秀が密かに抱える忍び軍団の活躍を描く時代エンタメ。
(徳間書店 700円+税)