「チワワ・シンドローム」大前粟生著
「チワワ・シンドローム」大前粟生著
田井中琴美は三枝新太と飲みに行ったとき、彼のシャツの袖に10円玉大の白くて丸いものがついているのに気づいた。
「可愛いですね」と言ったが、新太はなんのことか分からないらしい。
琴美が担当している新人の採用活動の3次面接で、観月優香の黒のカバンに新太がつけていたものと同じものがついているのに気づいた。チワワを描いたバッジだ。知らないうちについていたという。帰宅して新太と通話し、そのバッジの話をしたら、新太の頬がけいれんし、通話が切れた。
その後、新太は姿を消す。ある日、スマホを検索していて、「チワワテロ」というキーワードが目に留まる。
弱肉強食社会に起きた妙な出来事を描く物語。
(文藝春秋 1650円)